三浦さんのこと
木を愛し、木に愛される職人、三浦圭一さんは、1953年、会津若松市生まれ。140以上年続く「三浦木工所」の4代目です。
高校卒業後、関東で就職したものの、故郷・会津への想いが募り、22歳のときに家業の木地師の仕事を継ぐことを決意し、帰郷。それから約40年間、漆器の土台となる木地を挽き続け、研鑚を重ねてきたベテランの職人さんです。
三浦さんのこだわりは何といっても「木」そのもの。長年培った目利き力を活かし、自ら南会津の営林所や材木屋で、樹齢100年以上の地元会津産の木の仕入れを行います。それを、数十年に渡って自然乾燥させた後、全て手挽きロクロで製品に仕上げます。
木材を乾燥させる工程では、現在では機械で強制的に乾燥させる方法が主流ですが、「長く使っても変形しにくい良い器に仕上げるには、短時間で無理やり木の中の水分を抜くよりも、やはり、時間をかけて木を寝かせてあげた方がいいし、自分は、それにこだわりたい」と三浦さんは話します。
想像以上にテマヒマ(手間も時間も)かかる自然乾燥で作る木地職人は、今や会津でも貴重な存在です。
木地づくりが専門ですが、約15年前から独学で漆塗りも習得し、オリジナルの器を生み出しています。毎年、「東京ドーム・テーブルウェア・フェスティバル」などにも出店し、全国に多くのファンを持ちます。
いつもやさしい微笑みを絶やさない三浦さん。訪れる方は、みんな三浦さんの人柄に惚れるほど、優しさに溢れた方です。
そんな三浦さんは、よりお客様に楽しんでいただけるスペースを作ろうと、2012年、日本大学・建築学科の学生たちとタッグを組み、ギャラリーの改装を行うなど、お客様との接点作りに積極的な方です。


三浦さんのうつわ
工房に併設された新ギャラリーは、気持ちのいい空間で、三浦さんのオリジナル商品で溢れています。
三浦さんの器は、木地に直接漆を塗り重ねる「ぶっつけ塗り」と呼ばれる技法が特徴です。数種類の色の漆を塗り重ね、あえて表面がまだらだったり、ロクロ目を残していたり、一つ一つの表情がとても豊かな器たちです。
大小様々な皿やお椀はもちろん、少し深めの鉢やお酒を注ぐ片口、漆の抹茶椀まで、「民藝」の香りを感じさせるような味わいで、日常でどんどん使える丈夫な品が揃っています。
また、三浦さんの木地師としての真骨頂は、「大きいもの」を豪快に挽く技にあります。
「長い時間をかけて育ってきた木を見ると、なるべく大きいまま使ってあげたくなる」と語る三浦さん。中には、樹齢200年以上の木を使った直径1mを超える大皿や蕎麦のコネ鉢などがあります。
そのような大物の器は、旅館や料亭での使用や、ホームパーティなどに使えば、存在感抜群です。
また、木を愛する三浦さんらしく、特別にいい木目を活かしたお皿や、滅多に手に入らない木材を使ったお猪口などもあります。そんな「ここでしか手に入らない物」との出会いも、三浦さんの工房を直接訪ねて買うことの楽しみの一つです。


三浦さんの工房
県道から少し入った路地にある三浦さんの工房。
自宅の隣の細い通路をくぐり抜けると、そこには驚きの空間が広がっています。
年期の入った轆轤(ろくろ)の機械、三浦さん自身が制作するという鉄で出来たカンナ、一面に飛び散る木の削りくず、立ち込める木の匂い。
地元会津の人も、いつも通り過ぎるこの場所の奥に、こんなすごいところがあったなんて想像もしなかったと言います。
三浦さんは、お客様がいらっしゃると、実際に木地を挽く様子を実演してくれます。その仕事ぶりからは、「漆器の中」がどれだけ丁寧に作られているかを知ることができます。
そして、いつも本当に楽しそうに、木の話をしてくれます。その話を聞いていると、日本人が大事にしてきた「木の文化」の偉大さを存分に感じることが出来ることでしょう。
さらに、工房の奥に広がる木地を寝かせた場所は、誰もが感激するタイムトリップ空間です。この特別な場所のことは、あえてここではあまり詳しく紹介しません。是非、あなたの目で確かめてみてください。


テマヒマうつわ旅だけの制作体験
木目を活かした「ぐい呑み」を作ろう!
料金:5,250円(送料込み)/1人、所要時間:約1時間
ギャラリーの中で、三浦さんが直接指導する「ぐい呑み」づくり体験。
あらかじめ三浦さんが、工房で寝かされた木を使って、ぐい呑みを仕上げの直前の段階まで作ったものを準備されています。
お客様には、その中からお好きなかたちを選んでいただき、それに仕上げの研ぎと漆塗り(拭き漆)をしていただきます。
晩酌には、自分で作ったぐい呑みでくいっと一杯、という粋な暮らしをしてみませんか?
出来上がった作品は、後日ご自宅まで発送致します。
※漆のかぶれやすさは個人差があります。
作業に際しては、漆に直接触れないように、工房で前掛けとゴム製手袋を準備いたしますが、お肌の弱い方や漆かぶれが心配な方は、参加をご遠慮ください。

三浦木工所
所在地:会津若松市千石町1-12
訪問可能時間:10:00~18:00
工房でできること:
- 工房見学
- お買いもの
- 制作体験
- オーダーメイド
- 漆器修理
※紹介している工房は、お客様の受け入れを常時しているところばかりではありません。
そのため、各工房に直接連絡されることはお避けいただき、必ずこのページからお問い合わせ・お申し込みいただきますよう、お願い致します。
木を愛して、木に愛されて。
材料にこだわり、普段使いの丈夫な器を製作しています。すべてオリジナル商品です。材木の仕入れ・木地作り・塗りまで、自分で手掛けています。木と漆のこと、お気軽におたずねください。2013年の4月に、工房内ギャラリーをオープン致しました。どうぞご覧ください。