「漆器とおばあちゃんの思い出」

投稿日:2015年3月12日(木) カテゴリ:日々のアテンドから

昨日までの2日間、テマヒマうつわ旅には「日本に生まれるさまざまな価値や魅力を、クリエイティブの力で海外に発信する映像コンテスト」を仕掛ける「my Japan プロジェクト」の皆さんがお越しになりました。

今年の夏、若手映像クリエイターたちが集結する「Creative Summer Camp」を会津漆器を舞台に行うことになり、テマヒマうつわ旅でも、そのお手伝いをさせていただきます。

今回はその下見&打ち合わせということでいらっしゃったので、1泊2日でたっぷり産地をご案内しましたが、今回の参加者のお一人の阿部さんがとっても素敵な感想を寄せてくださいました。じーんと来る文章なので、是非皆さんにも紹介させてください。

abe

漆器を見ていて思い出した。
私の父方のお婆ちゃん家は、
ほとんどの食器が漆器でした。
細い手で漆器を丁寧に洗う
お婆ちゃん。
その横で水拭きをする私は、
お婆ちゃんが笑いながら
冷たい水で漆器を洗うのを
不思議そうに見てました。
私が漆器を床に落とすたびに、
割れないから大丈夫だよ、と
優しく漆器をさすりながら
励ましてくれたりもしました。
お婆ちゃんは本当に
モノを丁寧に扱う人で、
それはきっと出会って買った時と
使う時にその想いが残っているから
なんだろうなぁ。
このお婆ちゃんの
漆器への愛情は、
いまになってやっと分かり
すごくお婆ちゃん家に
行きたくなりました。

=====

漆器に触れて、お婆ちゃんの愛情を思い出すなんて、なんて素敵な感性なんでしょう。
家庭の中で大事に使われるうつわは、ただの「モノ」ではなく、大事なことを繋いでいく存在なんだなぁって思いました。
そういえば、「物」に「語り」が加わると、物語になるんですよね。
阿部さんもきっと漆器を拭きながら、いろんなお話をお婆ちゃんから聞いたんだろうなって思います。
阿部さん、こんな素敵な思い出をシェアして下さって、本当にありがとうございます。
今度お婆ちゃんの家に遊びに行った際には、是非お婆ちゃんが使い込んだ漆器を手に取ってみてくださいね。

案内人について

漆とロック株式会社(Urushi Rocks Inc.)代表
貝沼 航(Wataru Kainuma)

1980年福島市生まれ。大学卒業後に会津若松市に移住。漆器づくりの現場に魅せられ、2013年より、木と漆という自然の素材の魅力や職人さんたちの手仕事の意味を実際に現場で体感できるガイドツアー「テマヒマうつわ旅」を展開。
2015年、世代を超えて受け継ぐことをテーマにした新しい会津漆器「めぐる」を販売開始。同年、グッドデザイン賞とウッドデザイン賞・審査委員長賞を受賞。会津で国産漆の植栽活動に取り組むNPOの副代表も務める。漆と人を繋ぐコミュニケーターとして、漆器の魅力を伝える講演やイベントも行っている。

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